宝ものは君たちの中にある

コラム:心の「強さ」はどこからくるの?

2024年6月1日掲載

こんにちは、MYスイッチのスイッチラボです。

今日から6月! 英語では「JUNEジューン」、旧暦では「水無月(みなづき、みなつき)」といいます。6月といえば梅雨つゆのシーズン。雨が多くてジメジメしていて・・・と、なにかと「水」を想像させる季節ですが、なぜ「水の無い月」なのか? 昔は梅雨じゃなかったのか? などなど、しょっぱなからスイッチラボの「深掘りスイッチ」が入ってしまったので(笑)、しばしお付き合いください。

これも諸説あるようですが、おおむね2つの説が有力なようで、ひとつは読み方説。「無」という漢字は使っているものの、それは単なる当て字で、本来は「の」という意味(助詞)である、というものです。つまり「水無月=水の月」というわけです。

もうひとつは、昔の6月は本当に水不足だった説。旧暦の6月は現代のカレンダーでは7月〜8月に当たります。真夏のカンカン照りで水不足になっちゃうよ・・・的な意味合いだとか。昔の歌の中にもいくつか「6月の日照りはすごい」「水不足で土がひび割れるほどカラカラだ」といったことを歌っているものがあるそうで、まさに「水が無い月」ということになりますね。

解釈によって真逆になり、結局「どっちやねん!」でしたが(笑)、スイッチラボが大切にしたいのは、どちらもOKということ。正しいか間違っているかより、「時代によって様々な解釈がある」という事実をそっくりそのまま受け入れることを、楽しんでほしいと思います。そうすることで、自分の器を広げていくことができると、ラボは思うのです。

さて、本日スイッチラボが注目するのは、心の在り方(ありかた)。ここ最近、特に「心を強くするにはどうしたら良い?」「すぐに折れそうになる弱い心をなんとかしたい」といった声を聞くようになりました。

とかく現代社会は大人も子どもも大忙しでストレスだらけ。カラダも心も疲れている人がたくさんいます。そんな過酷な現実の中で、心を強く持つということは、なかなかに難しいことかもしれません。

しかーし!難しいことに挑んでこそ燃え上がるスイッチラボ魂! 今回は「心の強さ」について、いろんな角度から深掘りしていきたいと思います。

「心の強さ」ってなんだろう?

強くありたい。強い心を持ち続けたい。それは多くの人が望むことだと思います。

皆さんは「強い心を持つ人」とは、どんな人物を思い浮かべますか? まずはドラマや漫画でお馴染みの「ヒーローもの」だと思います。昭和の時代はもっぱら「強く正しいヒーロー像」で、ウルトラマンや仮面ライダーなど、強くて正義感あふれるヒーローが悪者をやっつけて、良い人たちを守ってくれるという、とってもわかりやすいストーリーでした。これを難しい言葉でいうと。「勧善懲悪かんぜんちょうあく」といいます。いい機会なので、覚えておきましょう。

昭和・平成・令和と、時代ともにヒーロー像もずいぶんと様変わりしています。弱音を吐いたり、ケンカが弱かったり、ダークサイドに飲み込まれたり、友だちがいるから頑張れる、友だちみんながヒーローだ・・・というように、ヒーローも多様性の時代になっているんですね。でも、変わらないのが「不屈ふくつ精神せいしん」。いろんな困難にあって、凹んだり泣いたり、悩んだり拗ねたりしながらも、目指すゴールに向かって進み続ける姿に、多くの人が感動し、共感を呼ぶのだと思います。

さて、今回のテーマは心の強さ。今風に言うなら「強いメンタル」、「はがねのメンタル」とも言ったりしますね。鋼のように強く、傷付かず、何者にも負けない強靭なメンタルは、どうやったら手に入るのでしょうか? その前に「強い心(メンタル)」とは、一体どんなものなのでしょう? 

疑問に思ったら、まずは言葉の意味から再確認が、スイッチラボの深掘りの第一歩です。いつものように辞書で調べてみましょう。

【強い】つよ・い

1 力や技がすぐれていて他に負けない。「腕力が―・い」「―・いチーム」⇔弱い。
2 健康である。心身が丈夫である。「―・い子に育つ」「胃腸が―・い」⇔弱い。
3 物事に屈しない精神力がある。少しのことでは参らない。ひるまない。「気の―・い人」「―・い信念」「見かけよりしんが―・い」⇔弱い。
4 環境や条件に屈しない。物事に耐える力がある。「熱に―・い材質」「不況に―・い業種」「兄は酒に―・い」⇔弱い。
5 程度や度合いが大きい、また、はなはだしい。「風が―・く吹く」「真夏の―・い日ざし」「―・い酒」「度の―・い眼鏡」「責任感が―・い」「関心が―・い」⇔弱い。
6 ゆるみがない。かたい。「ねじを―・く締める」「手を―・く握る」⇔弱い。
7 断固としている。きびしい。「―・い口調」「―・く𠮟る」⇔弱い。
8 はっきりしている。明確である。「―・い線の文字」「コントラストが―・い」⇔弱い。
9 得意とする。「数字に―・い」⇔弱い。
(「デジタル大辞泉」より引用)

こうして改めて言葉の意味を眺めていると、いろんな「強い」があることがわかります。

「強い」って実に便利な言葉なんですね。

では、ここで問題です。「強い心」、もしくは「心が強い」とは、どんな状態(人)をいうのでしょう? 少し時間を使って、実際に書き出してみてください。

スイッチラボ調査によりたくさんの意見が集まりましたが、たくさんありすぎてもなんなので、代表的なもの10個に絞ってみました。

・いつもポジティブな人

・弱音を吐かない(クヨクヨしない)人

・いつも元気な人

・折れない心を持つ人

・体力がある人

・悩まない人

・信念を持ち、我が道を進む人

・困難をやすやすと乗り越える人

・周りの声を気にしない人

・武道(ケンカも)に強い人

いかがでしょう。なんとなくイメージできますよね。中でも最初に挙げた「ポジティブ=強い」というイメージは、現代人がもつ共通のイメージだと思います。ポジティブとは、いつも明るく前向きで、何事にも積極的で、ネガティブ(否定的)な意見や言葉を使わず、周りの人を思いやり、そして誰にでも優しい・・・うーん、まさにヒーローです。

でも、なんとなくイメージはできるものの、いまひとつ具体性に欠けるというか、説得力にかけるというか。「上にあげた10の事柄を自分なりに解釈して、今日から心の強い人になってください」と言われたところで、それはちょっとムリ!って思いますよね。そこでスイッチラボでは、具体的なケースに沿って、心の強さを考えてみたいと思います。

「財布を落とした!」さて、あなたはどう思う?!

突然ですが、あなたは大切にしていた財布を落としてしまいました。もちろん「かなりのショック!」だと思います。お財布の中に入っているのは現金やカードだけとは限りません。大切な写真やお守りなどが入っている場合もありますし、宝くじなどが入っている場合もあります(当たっていたら、さぁ大変!)。

ごくまれに「まったく気にしない」という人もいるかもしれませんが、それは心が強いというよりは、鈍感すぎるか、半分仙人(せんにん)のような生活をしている人だと思われますので、ここでは例外ということにしておきましょう。

人それぞれ事情はあるにせよ、一律「相当なショック」「かなりのダメージ」から始まるこの「財布事件」。何はともあれ、まずは警察に届け、心当たりを探し回ったりすると思いますが、心の持ち方の差が出るのは、「やるべきことをやった後」です。

いつまでも落としたショックを引きずって寝込むのか、1週間も10日も粘り強く探し続けるのか、はたまた落としてしまった自分の不注意さを嘆き、悲しみ、責め続けるのか? それとも「起きてしまったことは仕方がない」ときっぱり諦め、気持ちを切り替えるのか?

これも白か黒かの答えは出ない問題ですので、皆さんと一緒にゆっくりと考えてみたいと思いますが、実際にディスカッションの場を設けて、意見交換などをしたら、きっと有意義な時間が過ごせるのでしょうねぇ・・・。いつの日かそんなリアルラボができることを願います(またひとつ新たな野望ができました)。

さて、ここで実際にあった親子の会話を再現したいと思います。スイッチラボメンバーのAさんとお父さんの会話を再現したものですが、お父さんのセリフが秀逸すぎたので、ぜひ皆さんにも聞いて欲しくて、この場を借りてご紹介させていただきました。「現実はドラマより奇なり」と言う言葉がありますが、この場合は「現実はドラマよりおもしろい!」です(笑)

父「なにしょんぼりしてるんだ?」

A「実は、ものすごく気に入ってた財布を落としちゃってさぁ。もうショックで・・・」

父「そうか、そりゃ財布がお前から逃げてったんだな」

A「そんな・・・高かったし、めちゃくちゃカッコよかったんだ。しかもあのモデル、もう2度と手に入らないかも。あきらめ切れないから、また探しに行ってみる」

父「おいおい、ちょっと待てって。せっかく財布さんが“やく”を落としてくれたのだから、それを探してどうする」

A「?? 厄落とし? 探しちゃダメなの?」

父「そうだよ。財布がなくなったことで、お前は大きな災いから逃れることができた。財布が守ってくれたんだな。そう考えれば、消えた財布さんに感謝しつつ、とっとと諦めて、新しい財布を買いなさい」

A「え〜〜、でも〜〜」

父「一回縁が切れたものを持ってたってロクなことにならないぞ。探しに行くなら、落とした財布じゃなくて、新しい財布だ! それも運気を上げる、縁起のいい財布を見つけて来い!」

やく」というのは、災難や病気、苦しみなど、「イヤなこと」の総称だと思ってください。大切なものがなくなった時、身代わりとなって、その災いをどこかに持っていってくれたと解釈するのが「厄落とし」です。

私たちは「財布を落とした」=「ツイテない」=「悪いこと」と、つい思ってしまいますが、Aさんのお父さんはそれを見事に逆手さかてに取り、「逃げてった」ととらえました。しかもAさんの「厄を背負って」離れてくれた。そりゃめでたいことだ。クヨクヨしている場合じゃない。とっとと縁起の良い新しい財布を見つけて、さらに運をランクアップしろ!とまで言ってくれています。これぞ、災い転じて福となす! なんだかこう言われると、財布を落としのも悪いことばかりではない、なんだか良い節目になったのかも・・・と、素直に思えてくるから不思議です。

「財布を落とした」という事実はひとつ。でも、受け止め方、モノの見方によって、これだけ違う未来が見えてくるのです。見方が変われば気分が変わる。気分が変われば行動が変わる。行動が変われば明日が変わる。

ピンチをチャンスに変える良いお手本として、ぜひ記憶のどこかにひっかけておいていただけるとうれしいです。

良いも悪いも、すべて経験

さてさて、ユニークなお父さんのお話をしましたが、ここでスイッチラボがお伝えしたいのは、「すべての人がお父さんのような解釈をすべきである」ということでは決してありません。また、「ショックを引きずらないようにしようね」という話がしたいわけでもありません。

人は感情の生き物です。ショックが長引いたり、自分を責めたり、泣いたり、凹んだり悔やんだりするのは当たり前。ですからくれぐれも「ショックを受けないのが強い心だ」と思わないで欲しいのです。強い心で在りたいがために、ショックな気持ちをムリに抑えたり、なかったことにしたり、気づかないふりをしてしまうと、どこかに「ひずみ」が生じます。むしろそっちのほうが大問題です。

今は「ポジティブ神話」といいますか、ポジティブが良くてネガティブが悪い、ポジティブが強くてネガティブが弱いというイメージが出来上がってしまっているようにスイッチラボは感じています。

そんな時代だからこそ、あえて言います。「負の感情を抱くこと=弱い」わけでありません。自然に生まれた感情は、ポジティブでもネガティブでも大切なあなたの思いです。凹んだってクヨクヨしたっていいじゃないですか。出てきた感情はしっかり受けとめ、丁寧に浸ってしまいましょう。起こったこと(事実)と、それをどう感じたかをひっくるめて、あなたの貴重な経験ですし、それは今しか味わうことはできないのですから。

ただ、その時に少しコツがあります。それは感情に飲まれすぎず、負の感情を感じていることに罪悪感など感じることなく、「あー、今、めちゃめちゃ凹んでるな」と、ただ淡々と、冷静に見ている自分をどこかで感じることです。

ついでに、さきほどのAさんのお父さんのように、自分とはまるで違う解釈ができる人がいる、世の中はいろんな見方ができるということを、頭のどこかでうっすらとでも思い浮かべることができれば完璧です。

そうやって、弱さをひっくるめて自分の経験をまるっと大切に受け止めていけば、そのうち時が経った時、「いつぞや財布を落としてめっちゃショックだったんだぁ」と、笑い話にできる日がくるものです。実際ラボメンバーのAさんも、実に楽しそうに「財布を落として凹んだ過去の自分」を話してくれました(笑)。これぞ強い心のなせるワザ。経験こそが強い心を作ってくれる。そして心は「強くする」ものではなく、「強くなる」ものなのだとスイッチラボは思います。

ですから、今、とっても辛い、ついネガティブな気持ちの方が強くなってしまうと思って悩んでいる方も、「今はそんな季節」と思って、無理やりポジティブに転じるようなことなしなくても大丈夫です。止まない雨はないし、朝の来ない夜はありません。凹む気持ちもいつしか過去になり、笑って話せる日がきっとくる。しかも、情けない思いをすればするほど、後になって「美味しいネタ」になるのですから(スイッチラボ調べ)、どうぞ楽しみにしていてくださいね。

とはいえ、やっぱり凹んだり、悩んだり。クヨクヨしちゃうときもありますよね。
人間だもの・・・(←相田みつをさんの名言ですね)

そんな時につぶやいてほしい『魔法の言葉』を、最後にお教えいたしましょう。

そんな時には

「しゃ〜ない!」

と、言ってみてください。結構楽になります。

関西風味に少し抵抗があるならば「仕方ない」でも「仕方あるまい」でも「仕方あらへん」でもOK! あれ、やっぱり関西風味になってる・・・(笑) 言い方はどうあれ、さっくりあきらめることをこと言葉として「宣言」することが大切です。

言葉にするってすごいのです。「言霊(ことだま)」という言葉があるくらいですから。

・・・と、言っている側から言霊についても深掘りしたくなっているスイッチラボでした。その話はまた別の機会に。

それでは今回はこの辺で。

ラボのつぶやき

Aさんとお父さんの愉快な会話、パート2(笑) とある雪の日の出来事です。大雪で電車が止まってしまい、車中に何時間も缶詰になってしまったAさん。後日、その大変な体験をお父さんに話したところ、最初に返ってきた言葉がなんと「ラッキーだったなぁ〜〜」でした。ラッキーって・・・と、さすがのAさんも一瞬、ポカンとなったそうですが、続いて言われたのが「いい出会いもあっただろう」でした。なるほど、お父さんはそう考えるのかと、Aさんも思わず感心されたとか。いつもは知らない人と話す機会もありませんが、お互い動けないし、時間はたっぷりあるのですから、こんなときこそ隣の人と会話を楽しめばいいじゃないか、といいう発想ですね。まさにポジティブシンキング(笑)。凹んだ時に思い出したくなる逸話のひとつです。