コラム『あいさつは心のスイッチ』
2023年11月1日掲載
こんにちは。改めましてスイッチラボです。今月から月に2回、1日と15日にコラムを更新する運びとなりました。読者の皆さまの知的好奇心をくすぐりながら、毎日がちょっと楽しくなるようなテーマをお届けしていきます。
さて、今月の1本目のテーマは「あいさつ」です。
今日はどんなあいさつを、誰にされましたか?
「あれ?どうだったっけ?」と思った方がほとんどだと思います。それほどあいさつは私たちにとって身近な存在。でも、身近だからこそ、無意識にしたり、テキトーに流したり、あるいはあいさつ自体していないことに、気づかれた方もいらっしゃるでしょう。
今日はいい機会なので、実際、何種類くらいあるのか、シーンごとにみていきたいと思います。
何種類あるかな? シーンごとの「あいさつ」
まずは、人に会った時のごあいさつ。
朝は「おはよう(ございます)」 昼間は「こんにちは」
そして夜は「こんばんは」ですね。
時間を気にせずオールマイティに使えるのが「ごきげんよう」。
これは「ごきげんいかがですか?」が短くなったものです。
今ではお金持ちのお嬢様しか使わないイメージですが、昭和の半ばごろまでは男女問わず、フツーに使われていました。
初めての人に会った時には、「はじめまして」ですね。続けて自分の名前を相手に伝えて、「(どうぞ)よろしくお願いします」というあいさつで、初めてのコミュニケーションが生まれます。まさに出会いを飾る言葉ですね。
では、人とわかれるときはどうでしょう。
「さようなら」「バイバイ」「じゃあね」「またね」
夜遅くに人と分かれる際には「おやすみなさい」なんて言ったりします。
これは眠る前に言うあいさつですが、夜の挨拶としても便利な言葉です。
ご飯を食べるときのあいさつ。これも大切ですね。
食べる前には「いただきます」 食べ終わったら「ごちそうさま」。
最近、食事のあいさつをしないオトナが増えているという話をよく聞きます。なぜなら「こっちはお金を出しているのに、なぜ、へりくだらなければならないんだ」という理屈のようですが、そんな考えを持つ自体、スイッチラボとしては残念でなりません。
いただきます。漢字で書くと「頂きます」とか「戴きます」と書きます。自分の頭に掲げて、あがめ敬い、大切にするという意味です。
わたしたちが食べているのは、大切な「いのち」です。お肉や魚だとわかりやすいですが、お米にしても野菜にしても、少し前までは「生きて」いたものです。その「いのち」をいただく(=食べる)わけですから、せめて「ありがとう、食べさせてもらうよ」という感謝の気持ちを込めて「いただきます」を言い、食べ終わったら「ありがとう、美味しかったよ」の気持ちを込めて「ごちそうさま」と言う。この習慣だけは忘れないようにしたいものです。
未来の自分は、今日なにを食べるかで変わってきます。逆に言うと、今の自分は「今まで食べきたものでできている」、ということになります。
「いただきます」「ごちそうさま」については、まだまだお話したいことがありますので、また別の機会にスイッチラボ的考察を発表させていただきます。
では、本題の「あいさつ」の話に戻りましょう。
今度はお礼のシーンです。
「ありがとう(ございます)」が、お礼の言葉の超がつくほどの代表選手。他には「感謝します」「うれしいです」、ちょっと変化球で「助かりました」なんて言葉もありますね。
そして、お礼を言われた方は、「どういたしまして」「いえいえ、お気遣いなく」
といった言葉を返します。この気配りあるやりとりも、日本的で素敵です。
謝るときの言葉も大切です。
「ごめんなさい」「すいません(すみません)」「申し訳ありません」
「ごめんなさい」以外は、「すいませんでした(すみませんでした)」「申し訳ありませんでした」と過去形にして使うこともあります。
ちなみに、「すいません」は人に声をかける時や、ありがとうの代わりに言うなど、万能選手的に使われていますが、基本は謝る時に使う言葉です。
さて、次なるシーンは、でかける時のあいさつです。
「行ってきます」、少し丁寧にいうと「行ってまいります」
そして送り出す方は「いってらっしゃい」と、声をかけます。
帰ってきたら「ただいま」。待っていた人は「おかえりなさい」と言って労います。「おつかれさま」「ご苦労さま」なんて言ったりもしますね。
誰も待っていない。迎えてくれる人がいない。暗い部屋に「ただいま」を言っても虚しいだけ・・・なんていう人もいますが、この言葉は「今、自分がどこにいるか」という宣言でもあります。「只、今」ですね。
学校や会社から帰って、これからおうちモードに入るぞ〜という気持ちの切り替えスイッチにもなりますから、ぜひ、積極的に使って欲しいと思います。これもスイッチラボ的に、もっと語りたいテーマのひとつです(笑)
さて、ここまででいくつあったでしょうか? 数えるのも大変なほど、たくさんありましたね。これも仲間内だけで通じるあいさつもあるでしょうし、声を出さなくても、ぺこりと頭を下げる、胸の前で手を合わせる、手を振る、目で合図するなどなど、ジェスチャーだけでも伝わるのですから、日本人のコミュニケーション能力の高さ、恐るべしです!(笑)
あいさつなんて当たり前。当たり前すぎて普段あまり考えもしませんが、こんなにも言葉豊かに、こんなにも様々なシーンで言葉を使い分けている日本の文化の豊かさは、本当に素晴らしいと思います。ぜひ、このコラムを読んでいる間だけでも「日本語っていいなぁ〜」と、しみじみ味わっていただけるとうれしいです。
スイッチラボ的「あいさつ」の新標語
ではここで、スイッチラボからの提案です。「あいさつ」を縦読みして、新しい標語を作ってみました。よかったら覚えて、使ってみてください。
「あ」あとでじゃなくて
「い」今言おう
「さ」爽やか笑顔で
「つ」強くなる
ん? 強い? あいさつするだけで強くなるわけないじゃん。
そんなふうに思った方もいらっしゃるかもしれません。
でも、「強さ」って、決してケンカが強いことでも、人を威嚇したり論破したり思い通りに動かすことでも、重たいものを持てることでも、筋肉ムキムキになることでもありません。
真の強さというのは、周りで起こることを、そっくりそのまま受け止める力。そして、何があっても動じない、ブレない気持ちを持つことです。
たとえば朝のワンシーン。
「おはよう!」
この「たった4文字」を言うか言わないかで、これからの未来が変わる。
これは決して大げさなことではないんです。
あいさつ効果をスイッチラボ的に考察すると、こんなふうになります。
自分から言えた。
大きな声ではっきり言えた。
なんだかとっても気持ちいい。スーッとした。
相手も笑って、「おはよう!」と返してくれた。
わぁ、うれしい。ありがとう、朝!
勇気百倍、よーし、いくぞー!
ね、こうやって心にエンジンがかかると、多少イヤなことがあってもなんのその。小石を踏んでも、信号が赤になっても、イライラせずに広い心で受け止めることができるようになります。この心の余裕。それが「強さ」を生むのです。
人と会ってもあいさつもせず、黙って通り過ぎる自分と比べると、なんと違うことか!
ちょっと想像してみてください。イメージの中の自分、笑顔になっていませんか?
でも、相手が返事をしてくれなかったら・・・
とはいえ、あいさつは「誰か」に言うのが基本スタイル。こちらが勇気を出して「おはよう!」と言っても、無言でスルーされたら、やっぱり凹みますよね。せっかく挨拶したのに(してやったのに)、なんで返事もしないんだと、イライラしたり怒ったり。人によっては「なんでしてくれないの?」→「私のことキライなのかも?」と悲しくなったり。
そんな体験をしてしまうと、「あいさつなんかするもんか!」とか「あいさつするのが怖い」といったネガティブな感情がムクムクと湧き上がってくる・・・この気持ち、すごくよくわかります。
でも、そんな時こそ、スイッチラボ的「あ・い・さ・つ」の新標語を思い出して欲しいのです。
あいさつは、相手の気持ちを考えてとか、コミュニケーションの潤滑油だとか、場の雰囲気を乱さないようにとか、なにかと「他人ファースト」で言われることが多いのですが、スイッチラボが大切にしたいのは、むしろその逆。めちゃめちゃ「自分ファースト」で、「言った自分がどう変わるか?!」なのです。
なので、返事がなくてもへっちゃらさ。
他人のことは気にしな〜い。
だって一番大事なのは、「自分が気持ちいいか」ってことなのですから。
あいさつは自分を高める大事なスイッチ。
今日も「カチッ!」と心地良い音を立てて、入れてみてはいかがでしょうか。
それにしても・・・深いとは思っていた「あいさつ」の世界ですが、実際にこうして書いてみると想像以上に深くて、さらにいろんなシーンが思い浮かんできました。
たとえば・・・
・知らない人にもあいさつするの?(危険じゃないの?変な人だったらどうするの?)
・キライな人にもあいさつするの?(それって負けじゃないの?)
・そういえば、お辞儀の仕方もいろいろあるし、それぞれ意味があるなぁ とかとか・・・
まさに、たかがあいさつ、されどあいさつ。「あいさつ」について深掘りするのが、ますます楽しみになりました。あいさつ深掘りスイッチON!です(笑) 私たちの考察はまだまだ続きます。この研究の成果はいずれどこかで発表しますので、どうぞお楽しみに!!