教室便り 2026年8月15日掲載
計画を、もう一度 ―― 今の自分から考える
こんにちは、MYスイッチの太田と申します。
突然ですが、私は、片付けをついつい後回しにしてしまいます。
特に気になっていたのが、自宅のリビングでした。書類や衣類、あとで仕分けようと思ってひとまず収納ボックスに入れたもの、その収納ボックスそのもの。生活するうえですぐに困るわけではないので、「片付けたい」と思いながらも、そのままにしてしまっていました。朝には、「今日は仕事から帰ったら片付けよう」と思います。ところが、夜になって仕事から帰ると疲れていて、「今日はもういいか」と見て見ぬふりをしてしまいます。


では、休日ならできるのかというと、そうでもありません。「今日は雨だし」「少し出かける用事もあるし」「もう少し寝ていたいし」と、理由はいくらでも出てきます。
時間がまったくなかったわけではありません。
振り返ってみると、私が片付けられなかった一番大きな理由は、「何から手をつければよいのか分からなかったこと」だったように思います。きれいに片付いたリビングの姿は想像できていました。しかし、そこに至るまでに、何をどの順番で片付ければよいのかという途中の姿は、うまく想像できていませんでした。
どれを残し、どれを捨てるのか。残したものをどこにしまうのか。それを一つひとつ考えようとすると、途端に片付けが大きな仕事に見えてきます。おそらく、最初から完璧に片付けようとしていたのだと思います。
そんな私が試してみたのが、「1日1ゾーンだけ片付ける」という方法でした。
リビング全体を片付けるのではありません。今日は一つの棚の上。明日はカウンターの上。仕分けられていないものがたくさん入った収納ボックスは、ひとまず後回しにしました。
最初は、それで本当に片付くのだろうかとも思いました。しかし、一か所だけに範囲を絞ってみると、不思議と「これは残そう」「これはもう手放してよさそうだ」と判断できるようになりました。残すものが決まると、次はそのものの「住所」を決めることができます。「これはこの引き出しにしまう」と、戻す場所が決まっていきました。
一つの場所が片付くと、目に見えて景色が変わります。
これまでなかなか片付けられなかった場所が、自分の手できれいになっていく。それがうれしくて、最初のうちは「もっとやりたい」「今日のうちにここも片付けてしまいたい」という気持ちになりました。
けれども、そこで教えてもらったのが、「やりすぎないこと」でした。やる気がある日も、1日1ゾーン。一気に終わらせるのではなく、それを何日か続けてみることにしました。
すると、しばらくして変化がありました。
最初は「棚の上だけ」だった1ゾーンが、少しずつ広くなっていったのです。たくさん頑張れるようになったというよりも、「まず物を見て、残すか手放すかを考え、残すものの場所を決める」という片付けの手順を、自分の中で簡単に思い描けるようになったのだと思います。

以前は、片付いた最終地点しか見えていませんでした。今は、その途中にいくつかの小さな地点が見えるようになりました。
これは、片付け以外のことにも当てはまるように思います。
何かを始めようとするとき、私たちは目標までの計画を最初からすべて立てようとすることがあります。けれども、完成までの道のりがあまりに長く見えると、最初の一歩をどこに置けばよいのか分からなくなることがあります。計画を立てただけで少し満足してしまい、実際には動き出せないこともあります。
そんなときは、目標そのものを変えるのではなく、そこまでの道のりを小さく区切ってみる。「全部終わらせる」ではなく、「今日はここまで」。今の自分が実際に動けるところまで、一つ目の目標を近づけてみる。それだけで、動き出せることがあります。
そして、もう一つ今回感じたのは、自分一人だけで解決しなくてもよいということです。
私は、行動を始めるときに背中を押してもらったり、できたことを一緒に喜んでもらったりすることで、次もやってみようという気持ちになりました。自分一人では、どのくらいの計画なら無理なく続けられるのか、そもそも何が自分の行動を止めているのか分からないこともあります。そんなときには、誰かに相談したり、伴走してもらったりすることも、一つの方法なのだと思います。
計画どおりにできないと、「自分は意志が弱い」「もっと頑張らなければ」と考えてしまいがちです。けれども、少し立ち止まって振り返ってみると、できなかった理由は別のところにあるのかもしれません。私の場合は、「片付けられない」のではなく、「最初の一歩が大きすぎて、どこから始めればよいのか分からなかった」のでした。これまでを振り返ることは、自分を責めるためではなく、自分を知るための時間なのだと思います。
何なら始めやすいのか。どこで止まりやすいのか。一人で進める方がよいのか、誰かの力を借りた方がよいのか。
そうしたことが少し分かれば、今の自分に合った計画を、もう一度つくることができます。仕事でも、家事でも、勉強でも、最初に考えたとおりに進まないことはあります。そのようなときに必要なのは、最初の計画を何があっても守り続けることだけではなく、一度これまでを振り返り、今の自分を知り、そこから次の一歩を考え直すことなのかもしれません。大きな目標が見えているのに、なかなか動き出せないとき。まずは、一つ目の目標を少しだけ近くに置いてみる。私にとっての「1日1ゾーン」のような一歩が、案外、その先へ進むきっかけになるのかもしれません。
