宝ものは君たちの中にある

教室便り 2025年11月15日掲載

自分をほめる


はじめまして。MYスイッチの吉野です。

日々指導をしていると、「自分なんて全然できません」と口にする生徒さんに出会うことが少なくありません。

そんな姿を見ているうちに、自分自身が学生だった頃のことを思い出し、「自分をほめることの難しさ」について考えるようになりました。

中学生の頃の私は、勉強の目的が「周りの人に勝つこと」でした。
休みの日にテスト勉強をしていて、疲れてふと手を止めた時、「ライバルのあいつは今頃勉強しているかもしれない」と思うと、頬をたたいてもう一度机に向かいました。
点数が上がり、順位が上がる。「勝てた」という実感が、自分のエネルギー源になっていました。

その頑張り方は「他人を基準にした努力」でもありました。
だからこそ、後に少しずつその限界を感じることになります。

誰かを意識して頑張れるというのは、それ自体に大きな力があるものです。
その考え方自体が悪かったとは思いません。けれど、高校に進むと、その頑張り方が通用しなくなりました。
どの教室にも自分よりできる人がいて、どれだけ努力しても届かない。
得意だった理科ですら、何十人も上に人がいる。努力が報われないように感じて、次第に机に向かう気力がなくなっていきました。

テスト前や入試前になると、ネガティブになる生徒さんが多いです。
「前回より点数が下がったらどうしよう」「頑張っても結果が出なかったらどうしよう」。

そう感じる気持ちは痛いほどわかります。点数という“見える結果“ばかり見てしまうと、自分の中の小さな成長に気づけなくなってしまう。

でも、テスト勉強の中には、数字には表れない努力がたくさんあります。

集中できる時間が少し伸びたこと、苦手な単元にもう一度挑戦できたこと、それだって立派な成長です。

「昨日より少しできた」「昨日より早く取りかかれた」。

そういう積み重ねが、確かな力になります。

そして、その一日をしっかり頑張れた時、自分をちゃんとほめられるかどうか。
その小さな自信が、次の一歩を踏み出す力になります。

そうした生徒たちの姿を見るたびに、過去の自分を思い出します。
今思えば、あの時の私は「どう頑張ればいいのか」が分からなくなっていたのだと思います。これまでのやり方では結果が出ないと。

生徒さんを励ましたい、応援したいという気持ちで日々過ごすうちに、「結果」よりも「自分を認めること」の大切さを、あらためて感じるようになりました。もしかすると、あの頃の私にも、それがいちばん必要だったのかもしれません。

授業の中で、生徒さんが「もう無理」「終わった」と口にすることがあります。
しかし、本人には見えないかもしれないけれど、確実に前に進んでいると私は思います。

入塾した頃に比べて、宿題をきちんとこなせるようになったり、テスト計画を自分で立てられるようになったり、ノートの使い方やまとめ方が上手くなっていたりする。

実際に、これまでの小テストの結果や、入塾当時のノートと今のノートを一緒に見比べてみると、その成長がはっきりと分かります。

その時に、生徒さんが少し照れくさそうに笑うのを見るのが、何よりうれしい時間です。

そうした変化を伝えていくことで、生徒さん自身が、自分で自分のことを褒められるようになっていってほしい。

そんな思いを胸に、日々指導しています。