受験に挑む皆さんへ 「強く思うことの大切さ」
代表のメッセージ 2025年10月1日掲載
10月となり、受験生の皆さんにとっていよいよ本格的に受験に向けた学びの時間が始まりました。これからの日々は、努力の積み重ねと挑戦の連続です。その中で、忘れてほしくない大切なことがあります。それは、「根拠がなくても自信を持つこと」の大切さです。
受験勉強をしていると、不安に押しつぶされそうになったり、自分はまだまだ力が足りないと感じる瞬間があると思います。しかし、その時に必要なのは、「私はできる」という気持ちです。根拠がなくても構いません。むしろ、最後まで戦い抜く力を与えてくれるのは、自分を信じ続けることこそが大きな支えとなります。
私は、大恩人の方の勧めもあり、京セラを創業した稲盛和夫氏(以後「稲盛塾長」と称する)の主宰する盛和塾で学ばせていただきました。たくさん学ばせていただいた中で最も心に残っている稲盛塾長の教えは、以下のまさに「強く思うこと」の大切さを伝えるエピソードです。
稲盛塾長は創業間もない頃、松下幸之助氏(松下電器産業[*現在はパナソニックに社名変更]創業者)の講演を聴く機会を得ます。松下氏はある一人の聴衆の質問に対し「まず心から強く願い、思うことが出発点である」という趣旨の内容を語りました。ところが会場では「思うだけなら誰でもできる」と失笑が広がりました。しかし、稲盛塾長は松下氏のこの言葉に深い感銘を受け、経営に必要なのは知識や才覚以上に真剣な思いと信念であると悟ります。強い願望は困難を打ち破り、周囲をも動かす原動力になると確信したのです。この稲盛塾長の信じ抜く姿勢が、京セラやKDDIの発展、さらには日本航空の再建を導く精神的支柱となったと語られています。
稲盛塾長は自著『君の思いは必ず実現する』の中でも、人間の思いには現実を引き寄せる力があると説いています。強く、純粋に「こうなりたい」と願い続けることで、潜在意識が働き、努力や工夫が自然と生まれ、周囲の協力や偶然も引き寄せて道が開ける。逆に「無理だ」「できない」と思えば、その通りの結果になってしまう。大切なのは、欲や損得ではなく、純粋で利他的な思いを持つことです。その清らかな思いこそが人を成長させ、困難を乗り越える力となり、やがて現実の姿へと結実していくのだと語っています。
受験においても、人は「できる」と信じるからこそ、本当にできる方向へと進んでいきます。反対に無理かもしれないと思えば、努力をしても力を出しきれません。ですから、自分の未来を信じてください。毎日机に向かうこと、諦めずに問題や課題に挑戦すること。それ自体が未来の自分を支える大きな力になります。たとえ、模試の結果や周囲の評価が思うようなものではなくても、「次はもっとできる」「最後には必ず結果を出す」と信じて進んでください。受験は、合否を超越した自分自身の成長を試す舞台でもあります。
また、受験は孤独な戦いに感じるかもしれませんが、決して一人ではありません。仲間がいて、先生がいて、ずっと見守ってくれている家族がいます。皆があなたの挑戦を応援していますよ。その応援を力に変え、「できる」という気持ちを胸に進んでください。
最後にもう一度。今は根拠がなくても自信を持ち続け、合格を強く願い続け、やるべきことを継続してください。合格へ、そして、未来の成長へ。
参考文献:
『君の思いは必ず実現する』(稲盛和夫氏著 財界研究所)
『生き方』(稲盛和夫氏著 サンマーク出版)
『「原因」と「結果」の法則』(ジェームズ・アレン氏著 サンマーク出版)